2012年7月2日月曜日

合気道創始者の弟子 受け継ぐ技と精神


2012年6月13日(水曜日)付
胆江日々新聞

多田師範(現役唯一の九段保持者)が指南
〜前沢で特別講習〜


 国際合気道連盟委員で現役唯一の九段保持者・多田宏師範(82)=東京都在住=がこのほど、前沢区の前沢いきいきスポーツセンターで特別講習会を開いた。東北各地のほか、東京や京都などから愛好者140人が参加。多田師範から技術だけでなく、綿々と受け継がれる精神も学んだ。
 多田師範が主宰する合気道多田塾の奥州道場(菅原美喜子道場長)が主催した。多田師範は合気道創始者・植芝盛平氏(1883~1969)に直接教えを受けた弟子の一人。旧防衛庁や慶応大学などで師範を務め、イタリアを中心にヨーロッパ各地で合気道を広めた。その功績が認められ、94年に日本武道協議会の武道功労賞に輝いた。
 多田師範は参加者を前に「勝ち負けにとらわれないことが大切」「自分の中に敵をつくらない」など合気道の精神を説明。押さえ技の指導では、80代とは思えない素早い動きで相手を組み伏せた。「相手の腕をねじろうと思ってはいけない。むしろ相手と同化するような感覚を持ちながら技をかける方がいい」と動きを交えながら説いた。
 合気道歴14年の高校教諭千葉晶史さん(32)=宮城県登米市=は「呼吸の仕方、体の使い方をわかりやすく教えてもらえた。先生は本当にかくしゃくとしていてすごい。先生の技が見られただけでも良い刺激になった」と汗をぬぐう。
 菅原道場長(53)は「直接指導を受ける数少ない機会。植芝先生の教えを受け継ぐ師範の雰囲気やエネルギーを感じてもらえるだけでも、参加した価値はあるだろう。必ず合気道をしていく上で役に立つはず」と力を込めていた。